クリスティアーノ・ロナウドの「心と体をどう磨く?」 考えたことは実現させる
クリロナの自伝、ではなくクリロナを見てきた人が、クリロナが如何にして心技体を鍛え、サッカー界のトップに上り詰めたのかを分析した一冊。
発売当初は『ジョコビッチの生まれ変わる食事』と並んで書店に置かれていたので、世界のトップアスリートの本が並んで売られているのを見たことがある人もいるのではないだろうか。
あれは本書がジョコビッチの本と同じ三五館という出版社の出版であり、かつタカ大丸さんという同じ翻訳者の翻訳であったからそういう置き方がされていたんだと思う。
同じような体裁の表紙で二冊並べてあったら本書もクリロナ本人が書いたと思ってしまった人は多いんじゃないかと思う。
名前を使っている本人が書いているかどうかの違いは内容にも現れているように感じた。
ジョコビッチの本はタイトル通り「俺はグルテンフリーで生まれ変わったよ。みんなもやってみたらいいんじゃないかな。」っていう調子の内容なのに対し、本書は本人が書いていないということもあってか、「クリロナはこうやって心技体を磨きました。以上。」という調子の内容になっている。
要は本書は「心と体をどう磨くか」というタイトルで疑問を投げかけている部分については一般化していないのだ。
なので、本書をタイトルから「メンタルトレーニングの本なんだ!」と思っている人には、それは勘違いだといっておきたい。
と、本書の内容がタイトルとズレていることや、ジョコビッチ本と並べて置いて書き下ろし感出してたのはズルくない?と思うことについてのっけから文句を述べたが、決して本としてつまらないわけではない。
クリロナがどれほどプロフェッショナルを追及し、そのためにどれほどのことをしているか、してきたか、ということについてはかなり詳しく書かれているため、クリロナが好きな人にとっては満足のいく本であると思う。
クリロナが具体的にどんなことをしているかについては本書でじっく説明がなされているが、あえて一言でいえば自分の体に関してストイックである、ということだ。
もちろん、練習に関してもである。
クリロナはイチローと同じように練習場にはチームの誰よりも早く到着し、自分の練習を始めているそうだ。
二人はキャリアの中で大きな怪我がないことでも共通している。超一流は常に最高のパフォーマンスを出すための基礎的な習慣が共通しているのだろう。
また、本書の中ではクリロナと家族との関係、交友関係も書かれている。
母親の話が多いのだが、個人的には自分が大好きなテニス選手、ラファエル・ナダルとの話が興味深かった。
ラファが怪我でウィンブルドンで活躍できなかった年、クリロナはウィンブルドン決勝戦の後にラファに対して「君こそが本当の王者だ」とメッセージを送ったのだそうだ。
第88回アカデミー賞で賞を逃したスタローンに対しシュワルツェネッガーが「誰が何と言おうとお前がベストだ!」という激励メッセージを送ったのに似た熱い友情を感じる話で感動させられた。
また、意図してではないと思うが、二人は共通のルーティーンを持っている。
二人とも、コート/ピッチに入る際に右足から入るのだ。クリロナもラファと同じルーティンをもっているとは知らなかった。
交流のある選手同士の意外な共通点を知れて、ラファファンとしては読んでよかったなぁ、と思っている。
★こんな人に読んで欲しい
・クリロナのファン
・クリロナのストイックさを少しでも真似したい人
本書にはクリロナがいかに練習、自分の体のことについて頭を使い、ストイックに取り組んでいるかが書かれている。書いてあることをすべて真似するのは無理だろう。
でも、そのエッセンスだけでも取り入れて日々の練習に生かすことができれば、上達の助けになると思う。
本書にはそれだけのことが書かれている。
★本書を読んだ人にオススメの本
書店で本書と並べて置かれていたジョコビッチの食事本、それとクリロナの友人のラファの自伝をオススメしたい。
ラファもクリロナと同じくストイックで、そのストイックさが自伝の中にも表れているので、トップ選手のストイックさを実感するためにも、ラファの自伝はオススメだ。