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読書のはじまり

最近読書はしてますか?読書はしたいけれど、面白い本を探している時間はない。そんな人が、ここで読みたい本を見つけてくれたら嬉しいです

ラファエル・ナダル自伝「RAFA MY STORY」

スポーツ 自伝・伝記

 

 

"エリート・スポーツにごまかしは効かない。才能だけでは成功できない。それは礎石にすぎず、その上にジムで絶えず反復練習を積み、身体を鍛え、コートで練習し、自分やライバルのビデオで研究し、より良いテニスを目指し、しっかり頭を使わねばならない。"

〜本書240ページより〜

 

 

赤土の王者。

 
彼にぴったりな通り名だ。
 
赤土で作られたテニスコート、いわゆるクレーコートで圧倒的な強さを誇り、数多の記録を持つ男、ラファエル・ナダル
その記録は凄まじく、テニスの四大大会のうち、クレーコートで行われる全仏オープンでは9度の優勝、また、クレーコートでの試合81連勝、その他数々の記録を持っている。
 
 
錦織くんが世界ランク4位にまで登りつめたことで日本でもテニスが盛り上がっているが、僕が一番好きな選手はラファ(ナダルの愛称)だ。
ラファは第1ゲームの1ポイント目から試合が決する最後まで、常にそのポイントがマッチポイントであるかのように全力で戦う。その泥臭さがラファのテニスに対する情熱を感じさせてくれるから、僕は彼のプレーが大好きだ。
試合中にやる迷信じみたルーティーンがやたら多かったり、打つたびに「オオォォン!」「ンアァァア!」といった雄叫びを挙げたりとかなり特徴的な選手でもある。
 
本書は、そんなラファの半生を綴った自伝である。
 
 本書のメインは2009年のウィンブルドン決勝、ラファ対ロジャー・フェデラーだ。
ウィンブルドン史上最高の試合の一つと言われるこの試合を、そこで戦ったラファの解説付きで振り返れるというだけでも貴重である。
試合をラファの視点で振り返りながら、ラファの半生、ラファを取り巻く環境について描かれている。
その中には、普段は右利きのラファが何故テニスでは左利きなのか、全仏優勝9回を誇るラファが何故2009年は敗北を喫したのかなど、ファンなら知りたいことがたくさん詰め込まれている。
 
テニスのことについて一番ページが割かれていることはもちろんだが、その次に多いのがラファの家族、チームについてのトピックだ。普段試合を見ているだけではわからない、ラファの家族愛が伝わってくる。
全仏2009年の敗北理由はこの家族愛ゆえのものだ。この時ラファの両親が離婚間近だったのである。
ラファほどの選手であればテニスを第一にし、試合中はその他のことは二の次にできるようメンタルをコントロールできるのかと思いきや、そんなことはないようだ。
 
各章の終わりにはジャーナリストのジョン・カーリンが書いたコラムのようなものが掲載されているが、これもいい。
ラファが各章の本筋の部分で触れると話がそれてしまうようなことや、第三者だからこそかけることをジョンの視点から描いていて、ラファをより深く知ることができるものとなっている。
 
 
本書はラファがキャリアグランドスラムを達成した直後に書かれたものだが、ラファが大好きな身としては、本書の後にもラファは偉大な記録を打ち立てているのだから、テニス選手としてのキャリアを終えた時、もう一度自己のキャリアについて語る一冊を出して欲しいなぁと思う。
 
 
余談だが、ラファの予知能力は凄い。錦織と初対戦した時に、すでにその才能を見抜き「いずれトップ5に入る力を持っている」といったり、ラファとフェデラーが圧倒的二強として君臨していたナダルフェデラー時代にジョコビッチについて「彼は一、二年のうちに僕とロジャーをやり込めるよ」と言っている。
 
ご存知の通り、それらはいずれも現実となっている。この優れた観察眼が、彼の強さに繋がっているのだろう。
 
 
 
 
★こんな人に読んで欲しい
 
・ラファが好きな人
 ・テニス観戦が好きな人
 
テニスの試合を、その試合を実際に戦った選手の解説付きで振り返ることができる機会は早々ないだろう。本書はその貴重な機会を与えてくれる一冊である。
本書を読めば、ラファの試合を見るのが今まで以上に楽しみになることは間違いないだろう。