頂点への道
男子テニス日本のエース、錦織圭選手のブログの中から、錦織君の歩みをたどる上で重要なものをピックアップし、それにジュニア時代から錦織君を取材してきた秋山英宏さんが、錦織君の軌跡を外から見つめる者として短いエッセイを挟んだ一冊。
自分はテニス観戦が大好きなので、このブログでも何度か錦織君関連の書籍を取り上げてきましたが、錦織君自身の著作は2016年6月現時点では本書のみ。
本書は秋山さんとの共著なので単独名義の本はまだありません。
錦織本がたくさん出ているのに自伝とか単独名義の本がまだないっていうのは意外ですね。まぁ、グランドスラムとった後とか、キャリアが終わった後とかに自伝出してくれるでしょう。というか、出してほしい(笑)
錦織君って割と何考えてるかよくわかんないなぁ、って思うので。
というわけで、本書は錦織君が自身の心境を自分で綴ったものとしてはいまのところ唯一なので錦織君の本心を知る上では貴重な一冊。
まぁ、錦織君の部分はブログはっつけただけなんですけどね(笑)
本書のために錦織君が新しく書き下ろした部分はありません。
表紙の裏の部分に「本人が初めて綴った長い道のり」って書いてあるのはちょっとズルいんじゃないか、と思ってしまう。本人が新しく書き下ろしてるように読めると思うんだけどなぁ。
あくまで、ブログ記事を通して錦織君のその時々の心を読む、という感じ。
といっても、ブログを通しで読むのって結構だるいんで、書籍になってるとありがたいんですよ。
ブログまとめ本ってあんまり読まないんですが、売れる理由がわかった気がする。
本書の最大の良さはブログ記事の前にその記事に書かれている試合のスコアがのっかっていることだ。
試合のスコアを見た上で錦織君のブログ記事を読むことで、読んでいる側に試合のことを思い出させてくれるし、記事内容の理解がはかどる。
錦織君のこれまでの歩みを当時の心境と共に振り返る、といった感じの本だ。
一つ残念だったのは章ごとの表の部分。
年度ごとに分けられた章の頭には、その年一年の試合の結果とランキングが載っているのだが、これが正直あまり見やすくない。
錦織君の軌跡を内田暁さんが追った『錦織圭 リターンゲーム 世界に挑む9387日の軌跡』も同じく年度ごとの章構成をとっているのだが、こちらはランキングの変動を折れ線グラフで表していてわかりやすかった。
書いていることが違うとはいえ、同じ錦織本で見やすさに差があるとどうしても比較してしまうので、この部分は残念だった。
★こんな人に読んで欲しい
・錦織君のファン
・昨今の錦織君ブームについていきたい人
とりあえずこれ一冊読んでおけば錦織君の話題についていくことはできるはずだ(笑)
最近注目されてるけど、注目されだした当時は興味持ってなかったから詳しくない、という人は読んでみるといいだろう。
★本書を読んだ人にオススメの本
本書と同じく年度ごとに錦織君の活躍の軌跡を追っている、『錦織圭 リターンゲーム 世界に挑む9387日の軌跡』をオススメしたい。
本書と非常に構成が似ている上に、本書は錦織君の主観がメイン、リターンゲームのほうは著者の内田暁さんの主観(つまり客観的に見M錦織君)がメインなので、二つを見比べることでより錦織君を深く知ることができるだろう。
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