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読書のはじまり

最近読書はしてますか?読書はしたいけれど、面白い本を探している時間はない。そんな人が、ここで読みたい本を見つけてくれたら嬉しいです

熱狂宣言

 
"「私はダイヤモンドダイニングが新たに変わっていくために、目指す場所へ立つために、熱狂を誓う。熱狂なき者は、ダイヤモンドダイニングから去ってくれて構わない」"
〜本書191ページより〜
 
 
 
1967
ヴァンパイアカフェ
バグース
迷宮の国のアリス
 
都内を生活圏とする方なら、これらのお店の名前を耳にしたことがある、あるいは行ったことがある、という方も多いのではないでしょうか。
 
本書は、これらのお店やその他数多くのエンターテイメントレストランを手がける外食産業企業、ダイヤモンドダイニングの創設者にして代表取締役、松村厚久の半生を綴ったノンフィクション作品である。
 
著者は小松成美さん。
松村さん本人の語り下ろしではなく、あくまで小松さんの視点から書かれているのが、生存する人物について語られた作品としては珍しい。
 
本書は、東証一部上場企業を作り上げた松村さんの成功の軌跡を描いた物語ではなく、若年性パーキンソン病という難病を抱えながらも、病気に立ち向かい、先頭に立って会社を率いる男の物語だ。
松村さん個人の伝記というよりも、彼の周囲で起こってきたことを綴ったノンフィクション、といったほうがいいかもしれない。
小松さんの文で書かれていることはもちろん、松村さんの周囲へのインタビューも含まれていて、あらゆる角度からみた松村厚久が描かれている。
 
第1章に若年性パーキンソン病の告白、と銘打たれている通り、本書の物語の中でパーキンソン病の話は常に付きまとってくる。
しかし、本書は類い稀な難病となってしまった敏腕経営者が病をおして闘うリアルを描いたお涙頂戴作品ではない。
ダイヤモンドダイニングを起こし、経営が波に乗ってきていざこれから、という時に病気が発覚したものの、そこで絶望に沈むことなく、逆に野心に燃えて新たな計画をぶち上げ、叶え、また新たな計画へ向けて熱狂する、熱い男の物語だ。
 
"「私は絶対に長生きしますよ。生きる時間を思い、その時間が刻一刻と過ぎていくことの緊張感は忘れません。が、死にません。今となっては、この病気を克服した世界初の人間になってやると、意気込んでいるところです」"
〜本書222ページより〜
 
著者のインタビューに対し、病気の辛さを赤裸々に語りつつも、明るく、前向きに生きる。
そして、絶対に諦めず、常に業界のことを思って活動し続ける。
敏腕経営者としての手腕のみならず、そんな彼の性格が、周囲を惹きつけているのではないかと感じる。
 
 
 
もちろん、松村厚久のノンフィクションである以上、外食業界異例の100店舗100業態を成し遂げたエピソードもしっかり収録されている。
松村さんは映画と本が大好きだそうである。100業態もの店舗の案は、映画や本に沢山触れ、豊かな想像力が育まれた賜物ではないだろうか。
 
 
ノンフィクションの良し悪しは、その本を読んでその人に会いたいと思うかどうかだと思っているのだが、本書は松村さんにお会いしたいと思わせてくれる一冊だった。
 
 
余談だが、本書のタイトル『熱狂宣言』は夭折したプロレスラー、橋本真也の入場曲『爆勝宣言』に近いものを感じるのだが、ここからきているのだろうか。
青春時代の話に出てくるエピソードの全てが今の松村厚久に繋がっているのに、彼がプロレス好きの少年だったことだけはその後の話になんの関係もないから、タイトルへ繋がっているのではないかと感じた。
 
 
 
★こんな人に読んで欲しい
 
・外食産業に興味のある人
・松村厚久を知りたい人
・伸び悩んでいる人
・やる気、情熱が沸くような本が読みたい人
 
松村さんは自分の負ったハンデにも負けず、健常者に負けじと日々活動している。健康であったならもっとできることができないのがもどかしい、と語る松村さんの姿を本書で見ると、自分は今健康でいられるのだからもっともっと頑張らないとな、というやる気が湧いてくる。
 
 
 
★本書を読んだ方へのオススメ本
 
松村さんは成人してからパーキンソン病というハンデを背負った方だが、松村さんよりも早く、幼少の頃より重病によってハンデを背負った大塚健さんの著作をオススメしたい。
お二方ともハンデに負けず、普通の人以上のことを成し遂げている方なので、読んでいて負けないぞとやる気が出てくる。
 
 

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