ゼロ
”物事の出発点は「掛け算」ではなく、必ず「足し算」でなければならない。まずはゼロとしての自分に、小さなイチを足す。小さく地道な一歩を踏み出す。ほんとうの成功とは、そこからはじまるのだ。”
~本書29ページより~
Twitter等のSNSを見ていると、最近はなんだかただの言いたい放題オヤジなんじゃないかと思うが、あれは多分思ったことを反響とか考えずにそのまま書いているのが取り上げられてしまうからそう見えてしまうのであって、SNSでの言いたい放題が堀江さんの世間に伝えたいメッセージではないと思う。
実際、僕は堀江さんの著書を何冊も読んでいるが、本の中で彼が言っていることは至ってまともだ。過激なことを言っていても、それにちゃんと堀江さんの見解がくっついているからそう思う部分もあるのだが(SNSの方は見解の説明なしに結論だけ言うから言いたい放題に見える)。
本書は堀江さんの著書の中でも異色の一冊だと思う。
他の本は、堀江さんのお金に対する価値観だったり、今の社会に対する上述のような見解だったりを書いているものが多いのだが、本書はそれまであまり語られてこなかった堀江貴文の人生そのものや、堀江さんの人生観等が語られている。
そして、堀江さんの著書はいつも前向きな印象を受けるのだが、本書は前向きな堀江さんを感じることができるだけではなくて、読者を前向きにさせてくれる。
ちなみに、帯によれば本書は堀江本の中で一番売れている本らしい。
2013年に発行された本書が未だに平積みされている書店もあることからすれば、本当なんだろうと思う。
内容は、堀江さんの半生に始まり、そこから仕事論へと続いていき、堀江さんが働く理由が述べられた後に、小さな成功を積み重ねてゼロの自分にイチを積み重ねていけば、明るい未来が待っているという前向きな言葉で締められている。
"僕がどこで生まれ、どんな家族の中で、どんな人生を送ってきたのか。なぜ東大をめざし、なぜ起業したのか。女の子にはモテたのか、モテなかったのか。カッコ悪い話も、長年抱えてきたコンプレックスも、すべてありのままに語っていきたい。"
~本書32ページより~
本人がこのように語るように、本書の堀江さんの半生の部分では、オープンにしなくてもいいようなことまで語られている。
堀江さんがそんな言わなくてもいいことわざわざ本書の中でオープンに語ったのはなぜか。
それは、堀江さんという傍から見たら天才の成功者にしか見えないような人であっても、実際のところは小さな成功体験を積み重ねて自分の殻を打ち破ってきたからだ、ということを説得的に伝えたいがためだそうだ。
自分の弱さを語ってまでこのようなメッセージを伝えるというのはやはり普通の人にはなかなかできることではないと思うのだが、それができるのも小さな自信の積み重ねの結果なんだろうと思う。
本書を読むと、どんなに小さなことからでもいいから、いままで避けてきたこと、やっていなかったことに取り組んでみようという意欲が湧いてくる。
やる気、自信がない時に読むと、「よし、できるところからコツコツやってみよう」というやる気にさせてくれる本だと感じた。
★こんな人に読んで欲しい
・自信がない人
・堀江さんのようにビックなことがしたい人
今でこそ有名人な堀江さんもいきなりメディアに取り上げられるほどの大々的な活動をしていたわけではない。アルバイトからITへの挑戦を初めて、IT業界で徐々に頭角を現していき、世間的にも有名になる、というステップを踏んでいる。
堀江さんのような人でも最初は小さなことから始めているし、それを継続していくことで結果を出してきた。
本書を読むと、堀江さんの成功体験が決して別次元の話ではなく、努力次第で自分もできるのではないかと思えてくる。
★本書を読んだ人にオススメの本
堀江さんが最近出したムック本『堀江貴文という生き方』をオススメしたい。本書の中で語ったことのエッセンスが入っている部分もあって読んでいて面白い。
小さなことでもまずやることが大事、やり始めたら継続することも大事、という堀江さんの主張は、本書を出版した時から今まで変わっていないんだなと感じた。
bookintroduction.hatenablog.com