トップ・インタビュアーの「聴き技」84

トップ・インタビュアーの「聴き技」84

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木村 隆志 TAC出版 2011-03-03

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本書は、インタビュアーの木村隆志さんが数多くの著名人にインタビューする中で培ってきた会話術を一冊にまとめた本である。

会話術の本と言えば僕も何冊か読んだことがあるけれども、その多くは心理学者やセラピストが書いたもの。彼らも実際にカウンセリングでの経験をもとに書いているのであろう。そして、インタビュアーと心理学者、セラピストはどちらも相手とより良い関係を築くための会話に長けているという面では共通する。

しかし、「会話相手を楽しませ、心地よくさせ、より相手の魅力を引き出していく」という面ではインタビュアーの方が勝っているように思う。

本書では木村さんの培ってきた会話術が、実例を挙げながら存分に紹介されている。
本のタイトルで自分を「トップ・インタビュアー」と名乗ってしまうところは笑ってしまうが（担当さんに押し切られたのかな？）内容は流石！という感じである。

 

実際のインタビューを元にした会話テクニック方法の紹介は、質問中の木村さんの心理状態、相手と木村さんの動作を交えながら書かれており、しかも本書で登場する著名人は、北野武や石原さとみ、三浦春馬といった誰でも知っているレベルの方々である。

そのため、文章からインタビューの情景が簡単に想像できる書きぶりとなっていて、読んでいるとまるで自分が二人のインタビューの様子をはたで聞いているような気分になってくる。


ただ、本書には「この本を読めばあなたも話し上手！」的なことが書いてあるけれども、当然ながらそんなことはない。
日常会話の中で試して、本書を読み返して、それで話し上手になっていくのだと思う。
著者も、最初はうまくインタビューをすることができずに失敗したと書いている。何事も実践あるのみ、ということだろう。

また、木村さんはあとがきで、以下のように言っている。

"いくら聴く技術を身につけても、相手への尊重や感謝の気持ちが伝わらなければ、その場の会話が弾むだけで、よい人間関係につながっていきません。話術にそれらの気持ちが加わることで、二人の間にポジティブな空気が流れ、好意となってあなた自身に返ってくるのです。"

〜本書238ページより〜

相手のことを考える気持ちの上に話術がくる。話術を使う際にもそれは忘れないようにしたい。

 

 

★こんな人に読んでほしい

 

・話し上手になりたい人

・インタビューの様子が知りたい人

 

 

話が苦手な人、はあえて外した。

というのも、本書は話が苦手な人も対象にしているようではあるが、話が苦手な人にはそもそもインタビューの場面から学ぶ、というのは難しいのではないかな、と感じたためである。

親しい間柄でも話すときに少し緊張してしまうことがある、レベルに話が苦手な方は、本書ではなく他の話し方本を読んだほうがいいと思う。

 

普通に話せる人、初対面だと緊張してしまう人、今よりもっと人と仲良くなる話し方がしたい人、は一読の価値があるだろう。