読書のはじまり

最近読書はしてますか?読書はしたいけれど、面白い本を探している時間はない。そんな人が、ここで読みたい本を見つけてくれたら嬉しいです

難病で寝たきりでも「他力本願」で年間50億円稼ぐ!

 
"僕のような重度の身障者でもできるのだ。おそらく五体満足なみなさんにやれないはずはない。"
"「自分で自由に動かせる体があるじゃないか。もっと頑張れ。自分はこれで精一杯と思うな」"
〜本書28ページより〜
 
 
 

このタイトルをみたとき、あなたはどんな本をイメージしただろうか?

 
正直僕は全く内容のイメージがつかなかった。寝たきりで稼ぐということは社長業か何かだろうとは思ったが、社長が寝たきりで務まる事業があるのかと。
 
本書は、株式会社ケイ・ブックスの代表取締役会長の大塚健さんが、難病の筋ジストロフィーを抱えながら、いかにして会社を大きくし、お金を稼いできたかという物語である。
 
大塚さんは、進行性筋ジストロフィーと5歳のころに診断されたのち、20歳の頃には既に車イス生活となり、30台半ばで肺炎により生死の境を彷徨ったのちはその後遺症で寝たきりの生活となってしまっている。そのため、はたから見ると彼はかなり重度のハンデを背負っているように見える。
 
僕ならば、彼ほどのハンデを背負ったら周りの目を気にしてしまって働く気には到底慣れないと思う。
 
実際、大塚さんは自己の背負うハンデを理由に自堕落な生活を送っていた時期もある。
そんな大塚さんを変えたのは、「自分の食い扶持くらいは自分で稼げ!」というお父さんの一言だったそうである。
 
そこで奮起した大塚さんは、趣味で大量に集めていた漫画の貸本業をはじめ、そこから同人誌の買い取り、販売等もはじめて行き、現在の業態になるに至っている。
 
彼の経営するケイ・ブックスという会社は、同人誌や中古アニメグッズを取り扱っている会社で、要はオタクのための会社である。
 
漫画・アニメオタクだった大塚さんが趣味をつきつめた結果、筋ジストロフィーを抱えていても店の経営という仕事ならばできると考え、年商50億まで会社を発展させてきたことは凄まじいことだと思う。
ハンデに負けず、かつ人生を楽しく生きようと趣味を仕事にした結果だろう。
 
 
もっとも、大塚さんがそれほどの成功を成し遂げたのは、大塚さんのアニメ・漫画への愛情だけではない。
 
大塚さんは自分が普通に働いたのでは絶対に健常者には勝てないということを意識し、常に自分の限界を破る量の仕事を自分に課してきた。
例えば、ケイ・ブックス池袋店を出店した当初は毎日深夜3時まで仕事をしていたそうである。店の開店時刻朝10時には店頭に立っていなければならないにもかかわらず、だ。
 
そんな並外れた努力に加えて、大塚さんには商売人としての先見の明、センスがあった。
当時店頭での取り扱いを行っている店がほとんどなかった女性向け同人誌の取り扱いを他に先駆けて開始し、この分野のパイオニアとなった。
新規店舗がダメと分かれば開店一カ月であろうと早々に店を締めるほどの判断の速さも、決断力も彼独特の経営センスだ。
 
 
そんな大塚さんの信念、経営哲学を忠実に実行するのが、ケイ・ブックスの社員達である。
大塚さんは今は寝たきりゆえ、いくら脳がフルスロットルで働いてスピーディな判断をしても、それを実行することができない。
 
だから彼は「他力本願」だというのである。
大成功を収めながらも周囲への感謝を忘れない、素敵な心の持ち主だ。
 
ここまで読んで頂ければ分かるだろうが、本書はいかに楽してお金を稼ぐか、という本ではない。
大塚健の仕事術のみならず、自分で限界を決めず、悔いのない人生を歩んで欲しい、という大塚さんのメッセージが込められた本である。
 
 
 
★こんな人に読んで欲しい
 
・寝たきりでも年商50億にまで会社を拡大させた大塚さんの仕事術を学びたい人
・なにか障害を抱えていて、一歩が踏み出せない人
 
 
大塚さんは重度の障害を抱えているし、決して英才教育を受けていたわけでもない。
にも関わらず彼がこれほどの成功を収めたのは、彼の卓越した仕事術、そして限界を決めない働き方にある。
本書からは、そんな大塚哲学を学ぶことができる。