読書のはじまり

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伝説コンシェルジュが明かすプレミアムなおもてなし

 
 

コンシェルジュ、という職業をご存知だろうか?

ホテルの宿泊客のあらゆる要望や案内などに対応する総合世話係のことだ。
最近ではホテル業界以外の分野にもコンシェルジュが派生してきているようであるが、日本ではまだまだ認知度が高いとは言えない仕事だろう。
 
と、書いていたら、福山雅治さんの家にマンションのコンシェルジュが侵入したというニュースが流れてきた。びっくりである。
あの事件でコンシェルジュの知名度は一気に上がったことだろう。
あれは福山さんだけの問題でなく、マンションの信用問題として他の住人に不安を与えてしまいそうな事件だと思う。
なんの連絡もなしに家にコンシェルジュが侵入していたら恐怖だしトラウマものだ。
吹石さんが家に帰るのが怖くならないといいと願う。
 
 
さて、話を戻そう。
コンシェルジュはもちろん人の部屋に侵入するのが仕事ではない(笑)
では、コンシェルジュは総合世話係、といってもその範囲はどこまでなのか。著者の前田さんはこう述べている。
 
"コンシェルジュの仕事には、「ここからここまで」といった決まりはありません。つまり、終わりのない仕事です。ご滞在中のお客様だけでなく、ホテルの館内に一歩でも足を踏み入れてくださるお客様に対し、ご満足いただけるよう、あらゆるお手伝いをします。"
〜本書25ページより〜
 
コンシェルジュの仕事に範囲はないのである。一口に要望、といってもその範囲は幅広く、観光の手配、レストランの予約はもちろん、記念日のサプライズやプロポーズの演出のサポートまでもが含まれるというのだから驚きである。
 
 
本書では、前田さんがコンシェルジュとしてこなしてきたサービスの紹介を交えながら、いかにして相手の要望をつかみとり、それに対して的確なサービスを提供し、喜んでいただくか、という接客業の極意が語られている。
 
本書を読むと、一流ホテルのスタッフがお客様に満足していただくためにどのような心持ちで仕事に取り組んでいるか、というのがひしひしと感じられる。
相手の要望がなんであれ、「NOをいわない」ことを信条としているというのは流石である。
自分は高級ホテルに泊まったことは一度もないのだが、高級ホテルのサービスこそ、接客業の極みなのではないかと思った。
 
地元のショッピングモールの店員もホテルマンほどとは言わないが、少しくらい彼らのサービス精神を見習ってくれたらみんなハッピーになれるのでは、と感じる。
服のサイズがないか尋ねた際に、「出てるだけです。」とだけ答えるか、その後に「取り寄せできますが〜」と続けるかでは大分お客さんの受ける印象が違うと思うのだが。
 
最後に、本書の冒頭で取り上げられているエピソードのさわりを一つ紹介したい。
 
"今回、お客様がリッツ・カールトンにいらしたのは、女性のご要望をかなえるためでした。それは、
リッツ・カールトンのスイートルームに宿泊してフランス料理を食べたい」
「スイートルームにの床にバラとミモザを百本敷き詰めて欲しい」
というものでした。"
"ただし、大きな問題がありました。
お客様がご用意できる金額は十八万円。それは当時、スイートルーム料金のみの額に相当し、このままではフランス料理もバラもミモザもご用意できません。"
〜本書3,4ページより〜
 
さて、前田さんはこの無理難題にどう対処したのか。気になる方は本書で確認してみて欲しい。
 
 
 
★こんな人に読んで欲しい
 
・サービス業の人
・ホテルマン、特にコンシェルジュになりたい人
・チームプレーが上手くいかなくて悩んでいる人
 
 
本書につまったおもてなしのエッセンスは、ホテル業に限らず全てのサービス業で参考になる部分がある。全部を取り入れることは難しいだろうが、簡単なことは取り入れて、相手も自分もハッピーになれるようなサービスの提供ができたらいいと思う。
 
また、本書で前田さんが提供するサービスは、前田さん1人の力でなしたものは一つもない。どれも周りの人の協力なしにはなし得なかったサービスである。
本書にはそんなサービス提供のためのチームプレーの軌跡も描かれているため、この部分も参考になる。